セキュリティ

NICT、暗号化したままデータを処理する技術「完全準同型暗号」の安全性評価で世界記録を更新

情報通信研究機構(NICT)は1月21日、暗号化したままデータを処理する技術「完全準同型暗号」の安全性を支える「格子の最短ベクトル問題」の解析を行い、世界で初めて825次元という高次元の問題を解くことに成功したと発表した。

「完全準同型暗号」を利用すると、機密データの内容を外部へ一切漏らすことなく計算作業を託すことが可能となり、クラウドコンピューティングなどでのセキュリティ確保への応用が期待されている。「格子の最短ベクトル問題」の評価は、完全準同型暗号を安全に利用するために不可欠であり、実用化に向けた第一歩となる。

この問題を解くために、NICTと日立製作所は、共同で既知のアルゴリズムに改良を加え、パラメータを最適化したプログラムを開発し、ドイツのダルムシュタット工科大学が主催する解読コンテストに挑戦。これまで1年以上更新がなされていなかった世界記録を更新し、825次元の格子の最短ベクトル問題を5.5日で解くことに成功した。

今後は、クラウド上での秘匿情報処理の実用化に向け、より高速な解読アルゴリズムを開発し、さらに大規模な実験により安全性を検証していくという。

(川原 龍人/びぎねっと)

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