AI・データサイエンス

ソシオネクスト、深層学習を用いたSLAM処理に必要な時間を従来技術の約60分の1に短縮できる手法を開発

 ソシオネクストは10月12日、東北大学大学院情報科学研究科の研究グループと共同で、深層学習を用いたSLAM(自己位置推定および環境地図作成)処理に必要な時間を従来技術の約60分の1に短縮できる手法を開発したと発表した。

 同手法では、CPUの消費電力・性能に制約のあるエッジ向けの SoC でも高度な SLAM 処理が可能となり、自動運転車をはじめ、産業向けの無人搬送車(AGV)、ロボット、ドローンなど自律走行・自律制御を行う装置、AR (拡張現実) グラスなどといったデバイスへの応用が期待される。

 同手法は、グラフニューラルネットワークの一種である「Graph Network(GN)」を用いた推論による近似計算手法を提案した。この手法は、GNブロックによるキーフレームとランドマーク情報入力からの更新情報の推論、および多段のGN構造による値への収束からなり、これらにより従来の Levenberg-Marquardt 法を用いた一般的なバンドル調整に対して計算量を抑えた推論処理が可能になった。この推論手法を用いて Visual SLAM のバンドル調整を実装し、従来手法として広く使われている「g2o」との比較を行った。PC によるシミュレーションで処理時間を計測した結果、g2o に対して本手法は処理時間を 1/60 まで削減できることが確認できたという。

 同社は今後、今回の研究成果をはじめとしたVisual SLAM技術をカスタムSoCソリューションに向けた要素技術として確立する。また、画像認識以外の用途への応用も検討する。

(川原 龍人/びぎねっと)

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