サーバー/ネットワーク
KDDI研究所、60GHz帯通信とLTEを協調動作させる新しい通信方式の開発を発表
KDDI研究所は5月25日、60GHz帯とLTEが協調動作してデータを転送する新しい通信方式を開発したと発表した。
従来は、60GHz帯の電波は1Gbps以上の広帯域伝送路を提供できる一方で、遠くまで電波が届きにくいことから、移動通信サービスでの利用が難しいとされてきた。また、現在のLTEの数百Mbpsレベルの速度から数Gbpsとなるため、固定網の回線速度が問題となることも想定された。これに対して、60GHz帯通信とLTEを協調させることによって、60GHz帯の高速回線を十分に活用できる通信手法を考案し、Android搭載端末上で動作させることに成功したという。本方式により、エリア構築が難しい高周波数帯に対して、移動通信サービスへの応用が期待できるという。
今回の技術では、LTEエリアであらかじめユーザが到達するであろう60GHz帯エリアを予測し、必要なコンテンツを先回りダウンロードさせることにより、ユーザが60GHz帯エリアに入ってすぐにデータのダウンロードが開始できる特徴がある。ネットワークの役割をサーバとの間の接続から、コンテンツの取得に変えようという考え方に基づいた「CCN」と呼ばれる技術により、これまで複数ネットワークを利用する時に問題となっていた、サーバとの接続性やネットワーク間の切り替えが必要なくなる。これにより、60GHz帯とLTEとで最適なデータ転送をシームレスに結合することが可能になる。さらに、ネットワークが現在転送している「コンテンツ」を知ることができるようになり、それに基づいて先回りさせるコンテンツを容易に決定することができる。
今回、この技術を用いた実証実験において、ダウンロード時間をLTEのみを使った場合と比較して5分の1以下にまで削減し、LTEのトラフィックを最大約90%、60GHz帯にオフロード可能であることを確認したという。
(川原 龍人/びぎねっと)
[関連リンク]
プレスリリース