オープンソース

理研、超並列分子動力学計算ソフトウェア「GENESIS」を公開

理化学研究所は5月8日、生体分子の運動を1分子レベルから細胞レベルまでの幅広い空間スケールで解析可能なシミュレーションソフトウェア「GENESIS」を開発し、オープンソースソフトウェアとして無償で公開すると発表した。

生命科学では、タンパク質や核酸(DNAやRNA)などの生体高分子が、細胞の中でどのように機能しているかを理解することが必要となるが、従来の分子動力学シミュレーションソフトウェアでは、多数のCPUを用いて従来の計算アルゴリズムを大規模な分子集団系に対して適用しようとすると、CPU間の通信時間が増大するため限界があった。

今回発表された「GENESIS」は、スーパーコンピュータ「京」のアーキテクチャを考慮に入れた独自の計算アルゴリズムを導入することで、並列計算を高効率化し、細胞環境を想定した1億個の原子で構成される系に対しても高速な分子動力学シミュレーションを実現した。また、従来のようにタンパク質1分子や細胞膜、糖鎖、核酸などの生体分子のシミュレーションも可能であり、今後、創薬研究などに幅広く適用されると期待できるという。

「GENESIS」は、GPLv2ライセンスに基づくオープンソースソフトウェアとして、Webサイトに無償公開されている。

(川原 龍人/びぎねっと)

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