オープンソース
産総研、高精度な実時間OS「ART-Linux」を公開
産業技術総合研究所 デジタルヒューマン工学研究センターは3月7日、複数のCPUコアを独立して利用することで、システムのディペンダビリティを向上させることができる高精細な実時間OS、「ART-Linux」を公開した。
ART-Linuxは、複数のCPUコアをもつ計算機上で、通常のLinuxと、実時間拡張を施したLinuxがそれぞれ独立のCPUコアを使うことで、システムの頑健性の向上が図れるもの。今回の開発により、実時間性の必要なシステムの即応性を高めると共に、頑健性と汎用性を高め、システム全体のディペンダビリティーが向上することが期待されるという。最高優先度のタスクでは、10マイクロ秒の周期実行が可能となる。
今回の技術は、複数のCPUコアを持つシステムを、SMPの通常のLinuxと実時間拡張を施したLinuxのAMPの組み合わせにより実現する方法により実現した。このようなシステムは、通常のLinuxの側でオープンソースの汎用ソフトウェアやデバイスを利用でき、かつ、実時間Linuxの側で、任意のI/Oデバイスを占有しながら、制御系、安全系、監視系、高信頼のための二重系などのディペンダビリティを、お互いに非干渉な形で独立させて実装できる利点がある。これによって、複数コアを持つシステムにおいて、通常のSMP-Linuxを実行しながら、数個のコアが専用の実時間処理をしていたり、安全系を構成していたり、というシステム構成が実現可能となり、組み込みシステムであってもディペンダブルなシステムが構築できる。
「ART-Linux」は、Webサイトに公開されている。
(川原 龍人/びぎねっと)