AI・データサイエンス

東芝、一般的なPCで高速に群集の人数をカウントする技術を発表

東芝は6月12日、深層学習手法によって、カメラ画像に映る群集の人数を一般的なPCで高速に計測できる画像解析AIを開発したと発表した。

深層学習方式による解析は一般的にGPUなどの専用の演算装置を必要とするが、本技術は一般的なPCに搭載されているCPUでの解析が可能。1分間に約180台のカメラ画像を処理することができるという。また、従来の深層学習手法と比較して、画像1枚あたりの測定人数の誤差を16.0%から14.7%に改善した。本技術により、大型施設や複数施設のカメラ映像をクラウド上で一括解析するシステムを、少ない計算リソースで運用することができるとともに、新型コロナウイルスの感染予防における有効な密集防止策としても活用することが期待される。

近年では、深層学習技術を応用することで、密集度が極めて高い群集の人数の推定が可能になっている。一方、一般的に深層学習を用いた解析は、データの処理量が膨大でGPUなどの高価な専用演算装置が必要となるため、コストの増加が避けられず、幅広い施設への普及が困難となっている。そこで同社は、GPUなどの専用の演算装置を用いず、一般的なPCに内蔵されているCPU上の動作に最適な独自の深層学習手法を用いることで、CPU上での高速処理を可能とした。この技術を利用すると、画像の中で混雑している箇所を密度マップとして可視化し、流れの中で人が滞留している箇所や、密集箇所を検知することが可能だという。

本技術により、監視カメラの画像から、密集状態を検知して通知することで店舗や公共施設内の状態を把握できるようになり、監視の平準化・省力化が図れるほか、滞留する場所を可視化することにより密集緩和対策への貢献が期待できるという。同社は今後、新型コロナウイルスの感染予防などの応用に向けて、本技術を同社グループの製品およびサービスへ広く活用することを検討し、2020年度中の製品化を目指す。

(川原 龍人/びぎねっと)

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