AI・データサイエンス
東芝、大規模・複雑なプラントの状態変化の中に埋もれた異常を早期に高精度に検知する異常予兆検知AIを開発
東芝は12月7日、大規模で複雑なプラントに設置した数千点のセンサーから得た膨大な時系列データから、プラントの状態の変化の中に埋もれた異常の兆候を早期検知する「異常予兆検知AI」(AIは人工知能)を開発したと発表した。本AIは、プラントの状態変化に伴う大量のセンサーにまたがる複雑な関係を学習することにより、従来では捉えられなかった異常の兆候を逃さず検知するという。
「異常予兆検知AI」は、検知精度の向上に向け様々な研究開発が進められているが、大量のセンサーを同時に扱い、プラントの状態変化の中に埋もれた異常を精度よく検知するのは本AIが初めてとなる。本AIを用いて水処理試験設備の公開データで異常検知を実施したところ、検知性能は従来技術から12%向上し、世界トップレベルの検知結果が得られたとしている。
大規模で複雑なプラントでは様々なシステムや機器を監視するために数千点のセンサーが設置されている。プラントを効率的に運用・保守するためには、刻々と変化する膨大なセンサーの値を監視し、異常の影響が拡大する前に早期に検知する必要がある。しかし、全てのセンサー値を運転員が常時監視することは困難であり、熟練者の高齢化による減少や人手不足の問題もあり、大量のデータを効率的且つ高精度に監視する技術の必要性が高まっている。東芝は、同社グループがプラントメーカーとして蓄積した知見を活用した独自の深層学習技術を用い、センサー値の微小な変動に埋もれた異常の兆候を検知するAI技術を開発した。本AIは、二つの深層学習モデルを用いてセンサー値の正常状態を高精度に予測し、センサー値と予測値のずれから、従来では捉えられなかったセンサー値の複雑な変動に埋もれた微小な異常変動を検知することができる。
同社は、株式会社シグマパワー有明が運営する三川発電所においてて本AIの実証実験を進めており、大量のデータをオンラインで監視し、早期に異常を検知するという結果が確認できているという。今後、発電プラント向けPoC用システムの提供準備を2021年度中に完了し、更に他の様々なプラントにおいても性能実証を行っていくという。
(川原 龍人/びぎねっと)
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