セキュリティ
富士通研究所、動いている手のひらからも認証可能な静脈認証技術を発表
富士通研究所は4月17日、動いている手のひらからでも静脈認証が利用できる撮影技術を開発したと発表した。本技術により、1000分の1秒(1ミリ秒)程度の撮影時間で従来と同等の高い認証精度を確保でき、手のひらがセンサーの上を通過するだけで認証を行うことが可能になるという。
従来の手のひら静脈認証技術では、センサー上に手のひらをかざし、静止させた上で静脈画像を撮影していた。しかしこの方法では、利用できる用途が限られてしまうという弱点があった。今回、1ミリ秒程度の短時間の撮影で十分な画質を得られるよう、照明の制御および撮影用光学系の構成を最適化した。さらに、高速撮影モジュールで撮影した連続撮影画像の中から、認証に最適な画像を自動的に識別する機能も新規に開発した。この結果、歩く速度に相当する毎秒1メートル程度の手のひらの動きに対しても鮮明な画像を撮影し、静脈認証を行うことが可能になるという。
手のひら静脈認証は、「体内情報であるため偽造が困難」「外部条件の影響を受けにくいため、高い適用率を実現」「非接触であるため、利用者の抵抗感が少ない」といったメリットがあり、非接触ICカードを駅の改札にかざすような軽快な感覚で、手のひら静脈による本人認証を行うことが可能となる。
試作基板のサイズは9cm×7cm。今後は、撮影モジュールの小型・低コスト化、実用化のために必要な課題解決に向けた技術開発を進め、製品化を目指す。
(川原 龍人/びぎねっと)
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